2020年2月、3,173人を乗せた大型客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が横浜港に寄港し、国内初となる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性が確認されました。この未曾有の事態で、神奈川県は全国に先立って対策を検討することになり、ここにワークログが4年にも渡り支援に携わることになります。
当時(2025年7月現在も)無名であり、そして自治体や公共、医療に関する実績がなかったワークログ社が、なぜコロナ対策に関わることになったのか、その背景について取材頂きました。
1. 神奈川県内でのコロナ禍の到来と突然の招集

「明日から県庁来れる?」
2020年3月、共通の知人を経由し、神奈川県新型コロナウイルス感染症対策本部の統括官であった畑中洋亮氏からの呼び出しによって、山本の防災としてのキャリアがスタートします。
その時はダイヤモンド・プリンセス号から陽性患者を医療機関に搬送したところで、まさにこれから感染が拡大するという危機が迫っている中、まだ明確な対策が練られていない時期でした。
最初は「コンサルタント」の役割として稼働し、登庁後すぐに現在の状況・課題・考えられる策をヒアリングし、その内容を資料に落とすところから始めました。まだ県庁内に対策本部が発足されておらず、資料作成の人手も足りていないことは明らかでした。
初日に作成したその資料は、当日には知事室で議論され、週末には国まで報告が上がったようです。5月まではその繰り返しで、後に「神奈川モデル」と呼ばれるコロナ対策の概要図の資料作成にも携わっていました。
2. 神奈川モデル始動、そして役割の変化

神奈川モデルを実行に移すべく、まずは「感染防止対策取組書(詳細はこちら)」の開発に着手することになります。
最初の緊急事態宣言が明けたのが2020年5月、この時世間では感染対策に関する誤った情報が一部で広がっており、特に飲食店に対しては正しい感染対策を促す必要がありました。そこで神奈川県は、県内の事業者に対して、営業再開の条件として「感染防止対策取組書」の登録を課したのです。
感染防止対策取組書は、Webフォーム上で感染対策を選択すると、神奈川県のロゴが入った取組書がPDFで発行される仕組みとなっており、事業所や店舗内に張り出すことで利用者も安心して訪れることができます。
この仕組みは、その後のコロナ対策における事業者との連絡窓口としての役割も果たし、対策本部室が解散されるまで使われることとなりました。
ワークログ社の役割も、コンサルタントからエンジニアへと変化し、企画書の作成→プロトタイプの開発→詳細設計・開発→運用、と全ての工程を短期間で回し、その後数々の仕組みをkintoneベースでリリースすることになります。
3. コロナの危険性が徐々に落ちていく

神奈川県新型コロナウイルス感染症IT班上村氏と
2022年頃になると、コロナによるリスクが低下し始め、高齢者や妊婦・基礎疾患がある高リスクの方を中心とした施策を検討し始めます。
医療崩壊を防ぐための「発熱等診療予約システム(詳細はこちら)」や、自宅での療養で証明書を発行できる「自主療養届出システム(詳細はこちら)」などの仕組みを構築しました。
その後は、徐々に平時における相談を受け始め、「SDGsパートナー管理システム(詳細はこちら)」や神奈川県デジタル戦略本部室のDX推進アドバイザーとしても活動することになりました。その他、大阪府や三重県など、神奈川県でのコロナ対策をきっかけに複数の自治体とも取引が始まります。
4. コロナ後のワークログの変化

元々、受託開発やプロジェクトマネジメントとしての案件が多かったワークログですが、コロナをきっかけに自治体DX・防災DXの仕事が増えてきています。
代表である山本は「自分はスペシャリストではなく、全部中途半端。だけど、高速で70点を叩き出すことで最も価値が出る領域の1つが災害支援である」と話しています。
統括官である畑中氏からは、対策本部室が解散した後に次のようなメッセージをいただきました。
「実は、県庁で初対面で会った時は『線が細いが大丈夫かな?』と思ったけれど、その直後からの「爆裂な仕事の仕方」に信頼を固めていきました。
『数分の会話』で戦略資料とシステム実装の8から9割が作れる。『事業概要・業務フロー・実装イメージ・プロトタイプ』と、ここまでが数日でアウトプットされる。それで意思決定の調整を私がして、フィードバックし、数日で最終化して公開。その繰り返しでした。
コロナ以外の災害現場でも同様です。行政のデジタル人材は、このレベルであってほしい、そういう人です。災害支援部隊とも互角を張って現場に飛び込んで行き、輪の中に入っています。めらめらと誰よりも強い信念というか執念を持っている、かっこいい漢です」(一部、略)
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ワークログ株式会社 会社概要
『テクノロジーでアソボウ。』をビジョンに掲げ、個人が持つ知見・強みを活かし、企業のシステム開発や事業企画を支援。システム開発においては、上流工程から参画しビジネス面を考慮しながら行う提案型の要件定義が特徴。スピードが求められる場面においては特に定評があり、自治体、大学、不動産業界、人材ビジネス業界など、短期間で成果を出す「本当に意味のあるシステム開発」を求める様々な業界から絶大な評価を受けている。
- 商号:ワークログ株式会社
- 代表者:代表取締役 山本 純平
- 本社所在地:〒102-0073 東京都千代田区九段北1-2-2 グランドメゾン九段805
- 設立:2019年6月
- 事業内容:IT・コンサルティング
- HP:https://www.worklog-inc.com/